ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

七十二候 菖蒲華 夏至次候

菖蒲華 あやめはなさく

 

滴るほどの濃密な

 

きっとあれは
この降り続く雨を
集めて作られている

 

いったい
どれくらいの雨を集めれば
あんな底知れぬ深い色彩を
作れるのだろう

 

あまりの深さゆえ
ひとたび
その色にふれれば

 

ずぶずぶと
泥沼にはまるように
奥深くへと
飲み込まれてしまう

 

そして

 

たどり着く先で待っているのは

 

密やかな蜜の泉

 

そこにはもう
光は届かない

 

金色に輝く泉が
ひとつ あるのが
見えるだけ

 

甘い良い香りがしてるんだよ

 

忘れられないな
あの味
あの香り

 

ねぇ
そこには屋根があるんだよ
この時期
雨宿りにちょうどいい場所だと
おもわない

 

 そうだね

 

 それでその背中に背負っているのは
 そこからのお土産なの

 

えっ?

 

 

 

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