ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

七十二候 大雨時行 大暑末候

大雨時行 たいうときどきにふる 「今です届けに 行ってきなさい 翔け上がって 空へ」 皆の体がふわり うきあがり軽々 大地を離れ 吸い上げられるように大空へ 高く高くへと昇っていく 草も木も 今まであれだけ大きく見えていたものがぐんぐん小さく 豆粒へと…

七十二候 土潤溽暑 大暑次候

土潤溽暑 つちうるおうてむしあつし 日の出時より湧き上がり 静かに積み上がりつつある緑の積層 ふわふわと漂いぴとぴとまとわりつく 「大地からの手紙なのです 今すぐに空へ届けねばなりません どうか どうか僕たちを青い あの大空へ 今すぐに連れて行って…

七十二候 桐始結花 大暑初候

桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ ほら 届かない高くに結び目 くるり ひと結び ほら仲良く並んでる結び目 くるり ひと結び ほら花の締めくくり結び目 くるり ひと結び ほら幼い眠る花調え結び目 くるり ひと結び ほら 桐は愛おしげに結び目 くるり ひと結…

七十二候 鷹乃学習 小暑末候

鷹乃学習 たかすなわちわざをならう さぁ いいですか 私たちはこの森の頂点に立つものです ですが決して私たちが偉いものとそういうわけではないのです 私たちは私たちだけで生きていけているわけではありません たくさんの命に支えられて今の私達がいるので…

七十二候 蓮始開 小暑次候

蓮始開 はすはじめてひらく そこにはありとあらゆる色が取り揃えられている 空の色も 雲の色も雨の色も 風の色も太陽や月や星の色も どれでも好きに選んでいい その中にあったのがこの色なんだお気に入りの色だよ 1度全ての色に浸かってから時間をかけて選び…

七十二候 温風至 小暑初候

温風至 あつかぜいたる のしのし昇るその歩み よいしょよいしょ 一緒に登るぞ ほら行けそら行け 頑張れ 応援するぞ後押しするぞ ぐんぐん背中を押して 今年も暑さよ 頑張れ 目指す頂上空が明けて 眩しく明るい ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ 二十四節気の小…

七十二候 半夏生 夏至末候

半夏生 はんげしょうず 夏も半分 折り返し じゃば じゃば 雨も 降る にょき にょき 何やら 伸びて こりゃ なんだ ??? !!! 蛇が 鎌首 もたげて 構えとる さぁどうする はよ逃げよう 怖がるな 恐れるな 何のことはない 心を落ち着けて よーーく 見てみな…

七十二候 菖蒲華 夏至次候

菖蒲華 あやめはなさく 滴るほどの濃密な きっとあれはこの降り続く雨を集めて作られている いったいどれくらいの雨を集めればあんな底知れぬ深い色彩を作れるのだろう あまりの深さゆえひとたびその色にふれれば ずぶずぶと泥沼にはまるように奥深くへと飲…

七十二候 乃東枯 夏至初候

乃東枯 なつかれくさかるる 登り詰めたことを知らせているかのように 緑溢れるその中 季節を先取りするかのように 誰とも異なる色彩 これからの行き先を示しているかのように 静かに眠る姿 始まる衰えを表しているかのように 立ち尽くす ー・ー・ー・ー・ー…

七十二候 梅子黄 芒種末候

梅子黄 うめのみきばむ 早いものですねもうこんな時期を迎えるとは 嬉しいような淋しいような あの寒かった頃やまだ青く幼かった頃が懐かしい 立派になったものです ここからはお別れのときです でも 決しておしまいのときなどではないのですよ かなしむこと…

七十二候 腐草為螢 芒種次候

腐草為螢 くされたるくさほたるとなる 身を横たえる朽ちる草葉を輝かせ 滴る雫を糧に 星の欠片飛び立つ 夜空地上にうつし 暗闇を煌めかせ 静かに懸命に 燃える →梅子黄27 pippinouta.hatenablog.com ←蟷螂生25 pippinouta.hatenablog.com

七十二候 蟷螂生 芒種初候

蟷螂生 かまきりしょうず 生きてゆくために必要な分だけ 命を頂くことをお許しください この命尽きるときまで日々精進してまいります 真摯に生きる事を誓います 今から 目の前に現れるだろう 我と同じ尊い命を頂くことを どうかお許しください ー・ー・ー・…

七十二候 麦秋至 小満末候

麦秋至 むぎのときいたる 満ち足りたよき笑顔が溢れてゆく 黄金色を波打たせ 風に乗り歓喜が 煌めきながら伝播してゆく さわさわと称賛の声を受けながら ひとつ麦の幕が下りる時をここに迎える →蟷螂生25 pippinouta.hatenablog.com ←紅花栄23 pippinout…

七十二候 紅花栄 小満次候

紅花栄 べにばなさかう 近づかないでください あなたを傷つけようというのではないのです 誰かの手をあかく染めるなんてしたくはないのです ただ子孫を守りたいそれだけなのです 分かっていただけたらとおもいます 今はまだ あの空へぐんぐん 精一杯に伸び上…

七十二候 蚕起食桑 小満初候

蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ 殻を破り 与えられた食事を朝昼夕夜を問わずただ ひたすらに休みなく 食べ食べ食べ食べ食べ食べ続け お腹いっぱいになったらしばし休憩目覚めれば1段 成長を果たせる そして また 与えられた食事をひたすらに食べ食べ食べ…

七十二候 竹笋生 立夏末候

竹笋生 たけのこしょうず むぐむぐむぐ ぐぐっぐぐぐぐぐっ そりゃいけやれいけもっといけ 高い高いあの空目指して どんどん行くぞまっすぐ行くぞ負けないぞ 誰よりも早く誰よりも高く →蚕起食桑22 pippinouta.hatenablog.com ←蚯蚓出20 pippinouta.hate…

七十二候 蚯蚓出 立夏次候

蚯蚓出 みみずいづる ただ ひたむきに 来る日も 来る日も 真面目に一心に 誰に知られることもなく誰に顧みられることもなく 太古より鍬をふるいただただ一生懸命に 生きる そのことがたくさんの命を下支えしているのだという これから この足元で →竹笋生2…

七十二候 蛙始鳴 立夏初候

蛙始鳴 かわずはじめてなく さぁ舞台は整った 長かったこれまでの道のり 卵から孵り 先祖返りかという姿で幼少時代を過ごし 足が生え 手が生え姿を変え 色まで変え 寒さをやり過ごすために一時的に暮らす場所を替えぐっすり眠り 暦に叩き起こされ地上に帰り …

麦茶

麦茶 あら こんなに汗をかいてまぁ座布団までがびっしょり。 今日も暑くなりましたね。 風鈴、チリンともなりませんね。少しは風も通ってくれたらいいのに・・・・・・。 蝉の声が相変わらずにぎやかですね。それでもどこか静けさを感じるのはなぜでしょう。不思議…

季語 晩夏 片蔭

片蔭 少しでもよけたい避けたい そんなに嫌わないでかなしいでしょう とは言ってもねだって暑いしじりじり焼かれるのも つらいのよ 道の片隅 歩いてく どっちにしたって両方とも あなたのつくったものなのよ また冬にはありがたくあたらせてもらうから 今は…

季語 晩夏 夏休み

夏休み なんだか 恥ずかしいくらいまっさらな 水が張られて ひと時は こわいくらいに騒がしかったのが これまた こわいくらいに静かになって久しい これはいったい どうしたことかと問われても こっちも別に 詳しいわけでもないだから 分からない まぁ こん…

季語 三夏 打ち水

打ち水 お日様も西に帰ってゆく頃 いまだに暑さは炎の真似ごとに勤しんでいるものだから もういい加減お家に帰りなさいと パシャリ頭から水をかけて消火に努める じゅうじゅう何やら文句を言いながら暑さは右往左往小さく縮んでいく また明日ね別れを言うと…

季語 仲夏 五月晴れ

五月晴れ 暑さの次に五月雨が休みを取ったらしく久しぶりに洗濯物が気持ちよく干せますそれはいいのですが 暑さの休暇中を夏らしくないと言った事に腹を立てた顔を真っ赤にした まとわりつくような暑さが訪れましてふーとため息が出てしまいます 勝手なこと…

季語 仲夏 梅雨寒

梅雨寒 パシャ パシャ雨はもう何日も降り続いておりますそれゆえお日様が恋しくなったのでしょうここのところずいぶん冷えるとおもったらどうやら暑さは休みを取ってどこかへでかけているというのです どこへ出かけたというのでしょうかねなんとも夏らしくな…

季語 仲夏 五月雨

五月雨 お日様の刻む暦も6月に入りましてしっかり 梅雨を迎えております それゆえに 雨は心地良さそうに自信たっぷりな様子で降り続けており あちらからも こちらからもぽちゃ ぱちゃ ちゃぷんなどと楽しそうなおしゃべりが聞こえてきます そんなおしゃべり…

季語 初夏 筍流し

筍流し 茶色の衣にくるまれて幼い竹の子は土の上に 腰をおろしただただ おとなしく聞いている いいですか この時期の このような風は 大体 雨を連れてきます 気をつけましょうね よく覚えておくように と 青々とした背の高い大人の竹はさわさわ 葉をふれ合わ…

季語 初夏 薄暑

薄暑 確実に 夏へと一歩踏み出して今暖かさは 着実に 暑さへと姿をかえつつあるのだなぁ と 袖をまくる

季語 初夏 余花

余花 寝坊した遅刻した出遅れた 舞台に上がれば場面はもうすっかり移り変わり 真っ白に降り注ぐ陽光に若葉がキラキラ輝く季節 場違いもいいところだ居心地のわるさを感じつつ 葉陰にちらちら控えめに花はそれでも立派に咲いている

夏至 6月21日頃のこと

夏至 ようやくたどり着く きらきらと輝き滴るほどに色濃く命満ち溢れる頂きで躍動する生命達と一時を共にして また麓へと歩みゆく →小暑 pippinouta.hatenablog.com 芒種← pippinouta.hatenablog.com

季語 晩夏 秋を待つ

秋を待つ ひゅーぅと涼しい風がうしろから ほほをなでてゆくハッとする こころをなでてゆくヒヤッとする そろりと振り返る と そこには・・・・・・ 夢はここで終わる目覚めた 暑さ は似合わない冷汗をかいている 夢であったことにほっとする 同時に 誰かの想いの…