ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

豆 ぱらぱらとまいた豆は春を迎える仕度なのに そんなことは関係ないよと朝にはハトの朝食になるの 追われるとか言う鬼のことも迎え入れられるは福のことも 人の勝手なこととついばんでいくよ だって美味しい豆だもの もう芽の出せない豆のことを想って美味…

七十二候 雉始雊 小寒末候

雉始雊 きじはじめてなく あぁ聞こえる呼んでいる声 寒さをきりさき静寂を破って 届く もう見え始めたんだ すぐそこまで来ている 信じられないかもしれない けど ウソなんかじゃない 始まりがすぐそこに 分かるんだ もうすぐそこなんだ まだ遠いけれど聞こえ…

七十二候 水泉動 小寒次候

水泉動 しみずあたたかをふくむ くるり身を翻す とろとろ微睡み かすかなゆらぎ もう始まってる まだ見えぬ季節 訪れるその兆し →雉始雊69 pippinouta.hatenablog.com ←芹乃栄67 pippinouta.hatenablog.com

七十二候 芹乃栄 小寒初候

芹乃栄 せりすなわちさかう よーい どんっ!! 競って争って 寒さなどには負けない 我先に一番に 吹き付ける風などものともせず 群を抜くのは競り勝つのは いったい 誰だ!! →水泉動68 pippinouta.hatenablog.com ←雪下出麦66 pippinouta.hatenablog.co…

七十二候 雪下出麦 冬至末候

雪下出麦 ゆきくだりてむぎのびる ここで しばらくじっとしていなさい 外はまだ君たちにとっては厳しい季節だから それが過ぎ去るまではこうして閉じておくからね 厳しさがゆるみ始めたら私達とはお別れ そうしたら君たちは外へ出られる そこからは自由だよ…

七十二候 麋角解 冬至次候

麋角解 さわしかつのおつる 春の芽吹き 夏へと成長を続け 秋にはおとろえ 冬には・・・・・・ そういう一生を送るのは 何も私達だけではないようで ほら ここに 落ちるのは ある動物の頭上を飾っていた ものだという 静寂をやぶり 眠る私達の上に落ちてきた …

七十二候 乃東生 冬至初候

乃東生 なつかれくさしょうず 大方 周りは眠っているそりゃそうさ 休息の季節だ 眠るのにぴったりな静寂の中目を覚ますなんて 珍しい 季節を先取りかい寒くはないのかい まぁわるくはない ちょうど相方がほしかったんだ一人ではどうにも持て余してしまう一緒…

七十二候 鱖魚群 大雪末候

鱖魚群 さけのうおむらがる なぜ上るのだろうせっかく下ったというのに 上るのなら 下らなければいい下るのなら 上らなければいい それだけのことなのだ 無駄なことじゃないか分かってはいるんだ どうしてだろう 無性にいきたいんだこの水が懐かしいんだ上ら…

七十二候 熊蟄穴 大雪次候

熊蟄穴 くまあなにこもる ほら 見てごらん山があんなに白い もう すっかり冬だね あそこは ここよりももっと寒かろうね きっと 寒くて寒くてこごえてしまうだろうね 山の生き物たちはどうしているだろう 寒さにふるえていないかな 大丈夫だよ おやすみのあい…

七十二候 閉塞成冬 大雪初候

閉塞成冬 そらさむくふゆとなる 空は雲に覆われて塞がれて 大地は雪に覆われて閉ざされて 交わされる言葉は今はなく お互い命栄える季節の夢を見る 湧き上がる命の鼓動を勢い溢れる命の跳躍を満ち満ちる命の歓喜を にぎわっていたあの頃はすっかり重たい沈黙…

七十二候 橘始黄 小雪末候

橘始黄 たちばなはじめてきばむ するすると降りてきてお日様は明かりをおとしてゆく それを補うためにまるい実は明るさをましてゆく 光り輝く色に染めなおして かわりなく 世界をきらびやかに 照らすために この色は弱まりゆく陽射しをたすける一翼を担う →…

七十二候 朔風払葉 小雪次候

朔風払葉 きたかぜこのはをはらう いくものは遠慮するな どんっと 乗っかってこい 今 運んでやろう 次 行く先へ 心配はするな しっかり うけとめて 連れてゆく 安心して この風へ 身をまかせ 乗ってゆけ →橘始黄60 pippinouta.hatenablog.com ←虹蔵不見58…

七十二候 虹蔵不見 小雪初候

虹蔵不見 にじかくれてみえず 隠れてしまう わけではないんだ恥ずかしがっている わけでもないんだ ただ きかいがなくなってしまうだけ ちゃんといるんだよいつだって どこにだって ほら 見えるでしょう どこまでも高い空の青が色づいた樹の実の赤が寒さに負…

七十二候 金盞香 立冬末候

金盞香 きんせんかさく そうっと 揺れるのです さめざめ 冷めきった風に ふれられて ふるふる 揺れるのです その度に こぼれおちるのです 金の盃に なみなみ つがれた なんとも美しく きらめく香りが そうして あたりいっぱいに ながれだすのです 私はここに…

七十二候 地始凍 立冬次候

地始凍 ちはじめてこおる コクリコクリとふねをこぐ キラキラ 霜が白い粒をまき ムクムク 霜柱が力比べをしてる もう そろそろだろう はたらきつめて ため込んだ疲れを癒やす 体を横にして 乾いて 凍てつく時間 大地が眠りに就く また訪れる 命育む季節まで …

七十二候 山茶始開 立冬初候

山茶始開 つばきはじめてひらく 世界を枯色に染める風が吹き抜け勢いよく寒さをまき散らしてゆく それすらも気にすることなくきらり 花が咲く 鮮やかに染め抜かれた その色は誇らしげに開き 待っている お互い 願いをかなえる大切な来訪者を 命を支えるもの…

七十二候 楓蔦黄 霜降末候

楓蔦黄 もみじつたきばむ 赤に 黄に 橙にどの色にしましょうか 隣のあなたとは違う色で私だけの色で ひとつの色だけでも良いけれどふたつの色を重ねるのも良いね 旅立ちを 祝うための 粧いだから 錦の あでやかさで にぎやかに さいごに 燃え立つような 彩で…

七十二候 霎時施 霜降次候

霎時施 こさめときどきふる にっこり笑った青空が ポタポタ涙を流し始める あっと見上げた涙の空は もう笑う青空に戻っている もう大丈夫なの? 涙は終わったの? まだ どこか 悲しみを抱えたような空 泣いてもいいんだよ そんなに無理に笑わなくても →楓蔦…

七十二候 霜始降 霜降初候

霜始降 しもはじめてふる 見上げた空にはなんの痕跡も残っていなかった いつもの見慣れた景色がいつの間にか こんなことに しんと しずまる 世界いったい なにがおこったというのか まるで見当がつかない なにか いつもとかわったことはないか そういえば 今…

七十二候 蟋蟀在戸 寒露末候

蟋蟀在戸 きりぎりすとにあり 宿る露がふるふる ふるえる冷たさにかわってしまうような 夜のことです 力なく トン トンと戸を叩くものが ありました 誰か訪ねて 来たのだろうかうかがっていると 「中に入れてはもらえないでしょうか外はもう寒くて 仕方ない…

七十二候 菊花開 寒露次候

菊花開 きくのはなひらく 薬なのだというよ 不老長寿の薬効があると ほら そこに咲く花に宿る 雫 とってきてあげるよ それを飲めば きっと もっと ずっと 一緒に居られるから 蜜のかわりに 飲めば きっと そっと 幕を下ろす命あり 花は静かに それを見守る ←…

七十二候 鴻雁来 寒露初候

鴻雁来 こうがんきたる 冴え渡る空の青さにはるか高くを渡る風を知る もう そろそろ だろうか しんと鎮まる空気に耳を澄ませてみる 声が 聞こえてきたりは しないだろうか するすると幕を下ろしてゆくだいだい色の空に目を凝らしてみる 見えてきは しないだ…

七十二候 水始涸 秋分末候

水始涸 みずはじめてかるる 事の成り行きを そっと 見守る 先から 端から するすると 少しずつ ひいて ゆく 生気を 一所に 集めて とじて ゆく これで おしまい 命の水を 少しずつ 返上して ゆく その姿を ただ そっと 見守る →鴻雁来49 pippinouta.hatena…

七十二候 蟄虫坏戸 秋分次候

蟄虫坏戸 むしかくれてとをふさぐ 寝ぼけ眼に桃の笑顔が映った 嬉しそうに舞い上がる蝶に心がふわり舞い上がった 雀の家の見学会に参加したその作りに感嘆した 桜を見たふわぁっと風に乗って旅立っていく後姿を いいかげん しっかり目を覚ませ雷様に怒鳴れた…

七十二候 雷乃収声 秋分初候

雷乃収声 かみなりすなわちこえをおさむ お力添えいただき感謝申し上げます 私達だけでは到底ここまでたどり着くことは難しいことだったでしょう これほど 有り難いことはありませんどれだけ感謝をしても足りないくらいです うやうやしく頭を下げ続ける 稲穂…

七十二候 玄鳥去 白露末候

玄鳥去 つばめさる どうだい 上手くなっただろう 嬉しそうに 舞う ほら こんなことだって できるようになったよ 得意げに見せてくれる 確かに たくましく育ってくれた これからの 長い旅路 これで連れて行けるか 不安がないわけではない 旅立ちの時は迫って…

七十二候 鶺鴒鳴 白露次候

鶺鴒鳴 せきれいなく こっち こっちほらこっち こっち ちゃんとついて来て迷わないようにしばらく付き添うよ 惑わされないでしっかり歩いて そうそうその調子 疑わないで信じて 大事なことなんだよ そう言って 先を行っては立ち止まり また 先に行っては待っ…

七十二候 草露白 白露初候

草露白 くさのつゆしろし ひょいっと 一粒摘み上げられたら 空を透かして見てみようかそうしたらそこには何が見えるだろう? 草の葉の屋根を越えて 目覚める少し前の空の寝顔薄く流れ桃色に染まる雲の頬朝に溶け始めた仄かな月の横顔 キラリ光るこの玉にうつ…

七十二候 禾乃登 処暑末候

禾乃登 こくものすなわちみのる 一段 一段 懸命に登り ようやく ここまで とてもたくさん お力添えをいただいたとてもたくさん 面倒をかけてしまった おかげさまで無事にこの あと一歩のところまで どれだけ感謝してもたりない これで途切れさせることなく …

七十二候 天地始粛 処暑次候

天地始粛 てんちはじめてさむし いつまでも かわらないそんなこと あるわけない 常に流れる時の中そこにあるものは常に移りかわっていく どんなに淋しくおもたって世の中 止まることは知らない もうここが限界なのさそろそろ休めと いうことさ かなしむなよ…