ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

初冬

七十二候 橘始黄 小雪末候

橘始黄 たちばなはじめてきばむ するすると降りてきてお日様は明かりをおとしてゆく それを補うためにまるい実は明るさをましてゆく 光り輝く色に染めなおして かわりなく 世界をきらびやかに 照らすために この色は弱まりゆく陽射しをたすける一翼を担う →…

七十二候 朔風払葉 小雪次候

朔風払葉 きたかぜこのはをはらう いくものは遠慮するな どんっと 乗っかってこい 今 運んでやろう 次 行く先へ 心配はするな しっかり うけとめて 連れてゆく 安心して この風へ 身をまかせ 乗ってゆけ →橘始黄60 pippinouta.hatenablog.com ←虹蔵不見58…

七十二候 虹蔵不見 小雪初候

虹蔵不見 にじかくれてみえず 隠れてしまう わけではないんだ恥ずかしがっている わけでもないんだ ただ きかいがなくなってしまうだけ ちゃんといるんだよいつだって どこにだって ほら 見えるでしょう どこまでも高い空の青が色づいた樹の実の赤が寒さに負…

七十二候 金盞香 立冬末候

金盞香 きんせんかさく そうっと 揺れるのです さめざめ 冷めきった風に ふれられて ふるふる 揺れるのです その度に こぼれおちるのです 金の盃に なみなみ つがれた なんとも美しく きらめく香りが そうして あたりいっぱいに ながれだすのです 私はここに…

七十二候 地始凍 立冬次候

地始凍 ちはじめてこおる コクリコクリとふねをこぐ キラキラ 霜が白い粒をまき ムクムク 霜柱が力比べをしてる もう そろそろだろう はたらきつめて ため込んだ疲れを癒やす 体を横にして 乾いて 凍てつく時間 大地が眠りに就く また訪れる 命育む季節まで …

七十二候 山茶始開 立冬初候

山茶始開 つばきはじめてひらく 世界を枯色に染める風が吹き抜け勢いよく寒さをまき散らしてゆく それすらも気にすることなくきらり 花が咲く 鮮やかに染め抜かれた その色は誇らしげに開き 待っている お互い 願いをかなえる大切な来訪者を 命を支えるもの…

季語 初冬 帰り花

帰り花 間違えたわけではないよ 小春がふくふくくすぐるんだもん ついついふふふって笑ってしまったんだ 小春も一緒になってころころ笑っていたよ もうすっかり目がさめちゃったから話に花を咲かせちゃったんだ と 木枯らしに吹かれゆらゆら揺すられぽっぽと…

季語 初冬 小春

小春 間違えないでほしいんだ決して春というわけではないから 暖かいでしょでもね 今は冬 主役はね寒さなんだ だからこの暖かさだって陽の高い間だけ 油断してはダメだよ 真冬に備えてやっておくこといっぱいあるでしょそのためにこの時間を使ってほしいんだ…

小雪 11月22日頃のこと

小雪 久しぶりただいま とはじまる ちらちら ちらちら舞いおろしてゆくまだまだ積めはしないけれど 久しぶりおかえり とむかえる ちらちら ちらちら舞いおりてくるまだまだ積りはしないけれど 冷えてゆく大気に雨はゆき ここから始まりの雪は舞う →大雪 pipp…

立冬 11月7日頃のこと

立冬 日陰に座って ふわわとひとつ大きなあくび むにゃむにゃとまた眠りにつこうとしている そこは寒いでしょうこっちの日向なら暖かなのに そう言ってみてもやはり冬はそこが心地よいと見えて 小柄な姿でゆったりと夢の世界へ潜り込んでゆく 冬はまた居眠り…

小春日和

小春日和 ひらりひらりと 舞い降りて ひだまりの ベンチに腰掛け 楽しげに春からの おもいで話に 花を咲かせる 木の葉たち

季語 初冬 凩(こがらし)

凩 ぎゅっと握っていた手をはなす時それは さよならということ だからその時については慎重にならなくては そんなおもいは知らないのだろう 吹きすさぶ寒さをいっぱい連れた冬を知らせる風は 次から次へ梢と木の葉を引き離してゆく