ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

2019-01-01から1年間の記事一覧

雨水 2月19日のこと

雨水 じきに降り出すだろうものの色はたぶん今までとは異なる色なんだとそうおもうんだ 私たちはじきにそのものと一緒にここから立ち去ることになるのだけれどそれは別にかなしいことなんかじゃなく当たり前のことでいつものことなんだ また必ず会えるよ そ…

立春 2月4日のこと

立春 あっと 気付けばこんな ところに ぴょこんと 顔を覗かせて 吹きすさぶ寒さなどどこ吹く風と やわらかな 陽射しのなか はじまりの 一歩を踏みだしてうれしそうに笑う幼い春がいる →雨水 pippinouta.hatenablog.com 大寒← pippinouta.hatenablog.com ー・…

軒下での夏 風鈴

風鈴 チリンチリンと鳴れば喜ばれる じっとして黙っていると睨まれる ジリジリ激しく鳴り続けると叱られるうるさいんだってさ ほどよく鳴るのが良いみたい 鳴るも鳴らないも私に決められることではないのにね 私はただ風に身をゆだねているだけなのにね

縁側での夏 蚊取り線香

蚊取り線香 ぐるぐる渦巻いて目を回してやろうと企むものなのか モクモク煙りをはいてなにもカも煙に巻いてやろうと目論むものなのか 身じろぎ一つせずただじっと座っている あるところではぶたの姿をかりてまたあるところでは金魚の姿をかりて 決して近づい…

夏のこと ラムネ

ラムネ むんぐっとおしこめられてムッスとしたふきげんそうな顔がガラスごしにゆがんで見える ぐるりとまわして眺めてみるとぷっくり 横にふくらんだりほっそり 縦にのびあがったりいろいろに見えておもしろい おもしろいなんておもったからだろうかぐるぐる…

夏の頃のこと ひと夏のつぶやき

ひと夏のつぶやき ただいまの声とともに 目の前に顔がある 真っ赤にほてった顔が 気持ち良さそうに 風に吹かれている とおもったらもう いってきまーす とかけだしていく いそがしいのだな タオルをくびにかけた ほてった顔が近づいてきて びっしょりあせを…

梅雨明けから立秋の頃のこと なつ、おしむ

なつ、おしむ せみのこえは なつをよぶこっちだよ こっちだよこっちをむいてよながかったとんねるをぬけてやっとあえるとむねをおどらせるせみはうれしそうに なつをよぶ こっちだよ こっちだよ こっちをむいてよ だけれど そのこえはとどかないのかなつのす…

6月のこと いってきます

書いたものを置いておく場所をここにつくりました。 いってきます なぜだか 花をいっぱい咲かせるレインコートを着てなぜだか 果物をいっぱい実らせるレインブーツをはいていっぱいのあめのなかへ かけだしていく はじけかえる みずたまり跳び回る 雨粒あふ…