ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

夏の頃のこと ひと夏のつぶやき

ひと夏のつぶやき

 

ただいまの声とともに

目の前に顔がある

真っ赤にほてった顔が

気持ち良さそうに

風に吹かれている

とおもったらもう

いってきまーす

とかけだしていく

いそがしいのだな

 

タオルをくびにかけた

ほてった顔が近づいてきて

びっしょりあせをかいた

麦茶のはいったコップを

かたむけている

髪が黒くひかっている

外はいつのまにやら

黒くしずんでいる

 

外は朝からにぎやかだ

ジージー シャイシャイと

若さを振り回しての

おおさわぎだ

なんともおちつきのない季節だ

 

お腹を出して寝ると雷様に

おへそを取られてしまいますよ

遊び疲れたのだろう

しっかりおへそをかくして

お昼寝の時間

静かに見守る

穏やかな時間

 

気持ち良さそうに

風に吹かれる顔がある

じょじょに向きをかえていくと

そこにもまた

ちがった顔がある

目の前で二つの顔が

待っている

人気者になったようで

気分がいい

 

今日も暑かった

夜になってもまだ

暑さはひかない

今晩もこのまま

夜どおし働き詰めだ

 

もうこのあつかいにはなれた

つもりではあるのだけれど

本当 良いことではないのだよ

と教えたい

そりゃぁ そうしたくなるのは

わかるけれど いくらなんでも

足で踏むのは どうなのだろう

と踏んづけられて

昼寝から起こされる

 

あ~あ゛~

何をしているのか

大きな口をあけて

さっきから何やら

声をかけられている

のだが

何を言いたいのか

ちっとも分からない

時々こんな言葉をかけられる

わ~れ~わ~れ~は~

う~ち~ゅ~う~じ~ん~だ~

 

さぁ いただきましょう

の合図ではじまる

いただきます

というげんきな挨拶

家族そろってのにぎやかな夕食の時間

その後ろから風をおくるだけだけれど

なんだか ほっとするんだよね

この景色

 

わすれられたな

いくらあたりを見渡しても

誰もいない

そんな時間が続いている

今日の昼寝の時間はおあずけか

とむなしく 誰もいない

空間を吹きつづける

 

ゆらゆら目の前で

洗濯物がゆれている

朝からずっと

洗濯物の世話をしている

使われ方が違う気はするけれど

こんな日がたまにある

外では ぱちゃ ぺちゃ ぽちゃ ぱちゃ

音がしている

今日はここでがんばろう

 

朝晩はだいぶ過ごしやすくなった

ということだ

終業の時刻が設定されるようになって

夜どおしの仕事が減った

楽にはなった

なったけれど

・・・

 

外はすっかり静かになった

季節はおちついた

大人になったということだろうか

ほっとするような

さみしいような

どっちだろうか