ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

2021-01-01から1年間の記事一覧

大雪 12月7日頃のこと 

大雪 ひとひら ひとひら ずつはとても 小さなものだけれど 地道に 積み上げてゆけば大きな成果も 得られるというもの それも ひとえに寒さのいてくれるおかげ だれひとり かけることなくずんずん ずんずん雪は 深く降り積もってゆく →冬至 pippinouta.hatena…

どうか

どうか 大切にしてあげて 君に贈られた その名前君に名前を贈った その人君のその命 同じように 名前を贈られて名前を贈った人がいて今 一緒に生きている命を どうか大切にしてあげて

小春日和

小春日和 ひらりひらりと 舞い降りて ひだまりの ベンチに腰掛け 楽しげに春からの おもいで話に 花を咲かせる 木の葉たち

季語 初冬 凩(こがらし)

凩 ぎゅっと握っていた手をはなす時それは さよならということ だからその時については慎重にならなくては そんなおもいは知らないのだろう 吹きすさぶ寒さをいっぱい連れた冬を知らせる風は 次から次へ梢と木の葉を引き離してゆく

宝物

宝物 コロンと手のひらにどんぐりしゃがんで一つ二つと拾い集めていく じっと見つめる地面あったあったとあっちにもこっちにも歩いてはしゃがんで拾うまた歩いてはしゃがんで拾う 小さな手のひらにあふれたどんぐりはポケットの中に いくつになっただろうパ…

ほおずき

ほおずき ぽんぽんぽん燈しておくよ迷わぬように 朱い紙でこさえたようないくつものちいさなあかり どうぞ無事に帰って来られますように願って燈しておくよ

立秋 8月8日頃のこと

立秋 まだ暑いだろう 葉陰に入って汗をぬぐってパタパタやっている これだけ騒がしくやっている最中だよそんな気になんかならないよほら見てみなよ 百日紅が枝先で花を咲かせているよ向日葵だってすっくと背筋を伸ばして花を咲かせているよ 耳を澄ませなくた…

季語 晩夏 秋を待つ

秋を待つ ひゅーぅと涼しい風がうしろから ほほをなでてゆくハッとする こころをなでてゆくヒヤッとする そろりと振り返る と そこには・・・・・・ 夢はここで終わる目覚めた 暑さ は似合わない冷汗をかいている 夢であったことにほっとする 同時に 誰かの想いの…

大暑 7月23日頃のこと

大暑 じゅわじゅわ と上昇を続け 本当の頂きを目指し登り続け そうしてついには頂上に 到達する 天下を取った気分なのだろうか胸を張り 堂々とした立ち姿誇らしげな 表情 これはもう立派と言うほかはない大きく成長してはちきれんばかりになった暑さはこの夏…

季語 晩夏 空蝉

空蝉 静かに見送ったよ そりゃ 悲しかったさ あれだけ永く一緒に過ごしたんだから悲しくないはずは ないだろう さんざん泣いてもうすっかり涙は涸れた乾ききって カラカラになってしまったよ 今でも淋しくて仕方ないんだぽっかり穴があいてすっかりからっぽ…

小暑 7月7日頃のこと

小暑 いよいよ ここからわれらの 時節よとそわそわ わくわくしている様子の 暑さは きらきらと 目を輝かせ 起伏のある斜面を一心に頂上を目指しじゅわ じゅわ上昇を続けている 日々 頂きは更新されてさて どこまでいけるのか暑さの登頂はここから 本番を迎え…

季語 仲夏 梅雨の月

梅雨の月 あまりにも明るく照らすものだからこれはひらかずには いられなかったんだ まぁいいだろうあれだけ降らせたのだから 今晩くらいは ほら カエルが早苗の間 写る姿にうたをやすんで見惚れているよ こういうのって粋な計らいなんて言ったりするのかな …

季語 晩春 花冷え

花冷え 宴もたけなわとなりましてすっかり花は咲きそろい喜んで騒ぐのは人ばかりではなく 粘りに粘って この時を首を長くして待ち続けていた寒さもやっぱり喜んで皆で花見に繰り出しているのです それゆえに今晩はこんなに冷えるのでしょう

清明 4月4日頃のこと

清明 走り回って はね回って 転げ回って 歌って 踊って 笑って 開いて 広げて 伸びて ぎゅっと縮めていたからだをときほぐし すっかり生命はときはなたれて 野原に山にとむじゃきに遊んでいる →穀雨 pippinouta.hatenablog.com 春分← pippinouta.hatenablog.…

春分 3月20日頃のこと

春分 トントンとかけのぼり 来た道振り返れば別れを惜しみ涙する冬はいる 春の真ん中で花咲く野原に笑いあう目覚めた命と一緒にうたい 行く道振り仰げばまだ着かぬかさわぐ夏はいる 頂きまではまだ道半ば →清明 pippinouta.hatenablog.com 啓蟄← pippinouta.…

季語 仲春 雪解雫

雪解雫 ゆきげしずく きらりひかるきぼう たかなるこどう ぽたりぽたりしたたる ゆきどけのしずく はるのしるし

季語 初春 下萌

下萌 がさがさ ざわざわと 枯れ草をかき分けて寒さが風と連れだって走り抜けていったよ 春が来たとはいってもねまだまだ寒さでいっぱいだから 枯れ草はほっとしていたよ隠し通せたからね ここにいれば平気だよここは暖かなんだよ 枯れ草の下でおさない芽がそ…

七十二候 魚上氷 立春末候

魚上氷 うおこおりをいずる 堅く閉ざされていた天井は 少しずつほどかれてゆく差し伸べられる明かりから ほのかな温もりが届くいつの間にかながれの中の においがかわっている 春なのだ 勢いよく あふれだすよろこびをいっきに はじけさせて 魚は開いた 氷を…

七十二候 黄鶯睍睆 立春次候

黄鶯睍睆 うぐいすなく 夜明け前から目は覚めていたのです 大丈夫大丈夫と言い聞かせて この日のためにしっかり支度は積んできたのです それでも失敗してしまうのではないかと緊張してしまいますが そんなことをおそれてはいられません届けなければならない…

季語 初春 冴返る

冴返る さえかえる ほっ と一息ついてぽかぽか ぬくぬく春が来たと気を抜いていたら はっ と驚かされるコチコチ カチカチまだまだいるよ気を抜くなよ ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

季語 初春 薄氷

薄氷 うすらい うすらひ ピリピリ音を立てながら薄く張った氷を細い脚で 渡っていくそっとそっと だいぶ衰えたもうこんなしか できないなんて淋しくなる パリンとわれてあっ という間に水といっしょに 見えなくなる 岸に座ってまた明日氷の張ることを 願う …

季語 初春 余寒

余寒 おまけなんかじゃないよあまりなんかじゃないよそんなんじゃないよ 順番なんだまだなんだ・・・・・・ だけれどもう少しあともう少しだけ だからいさせておくれ 湧きあがりつつある暖かさに戸惑いながらも寒さは 居座りつづけている ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー