ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

季語

季語 冬 新年 初空

初空 はじめまして とすましがお いつもとかわらない空 だとおもうけれど でも新たに君は訪れている やっぱりパリッと 真新しい初めての 空なんだ だから迎えるんだ今日の空を はじめましてこれからよろしく と

季語 冬 暮 名残の空

名残の空 さよならと手を振る いつもと違う 空というわけではないけれど けれどひとつ君は行ってしまう そこは特別な空 なんだ だから見送るんだ今日の空を さよならと手を振って

季語 冬 暮 数へ日

数へ日 ひとつ ふたつてのひらにのせて みっつ よっつかぞえてゆく いつつ むっつすくなくなった ななつ やっつこのとしは ここのつ とお ゆうやけこやけで また ひとつへってゆく

季語 初冬 帰り花

帰り花 間違えたわけではないよ 小春がふくふくくすぐるんだもん ついついふふふって笑ってしまったんだ 小春も一緒になってころころ笑っていたよ もうすっかり目がさめちゃったから話に花を咲かせちゃったんだ と 木枯らしに吹かれゆらゆら揺すられぽっぽと…

季語 初冬 小春

小春 間違えないでほしいんだ決して春というわけではないから 暖かいでしょでもね 今は冬 主役はね寒さなんだ だからこの暖かさだって陽の高い間だけ 油断してはダメだよ 真冬に備えてやっておくこといっぱいあるでしょそのためにこの時間を使ってほしいんだ…

季語 初秋 花火

花火 ぱぁんと咲いてあっさり散ってゆくね淋しくないのかな うるさすぎやしないかいあの大きな音が気に入らんよどっきとするよ 普段は見向きもしないのにね花なら明るい時間に 咲いているのを見たらいいだろう 人が多いねこの暑いのにこんなに集まらなくたっ…

季語 晩夏 片蔭

片蔭 少しでもよけたい避けたい そんなに嫌わないでかなしいでしょう とは言ってもねだって暑いしじりじり焼かれるのも つらいのよ 道の片隅 歩いてく どっちにしたって両方とも あなたのつくったものなのよ また冬にはありがたくあたらせてもらうから 今は…

季語 晩夏 夏休み

夏休み なんだか 恥ずかしいくらいまっさらな 水が張られて ひと時は こわいくらいに騒がしかったのが これまた こわいくらいに静かになって久しい これはいったい どうしたことかと問われても こっちも別に 詳しいわけでもないだから 分からない まぁ こん…

季語 三夏 打ち水

打ち水 お日様も西に帰ってゆく頃 いまだに暑さは炎の真似ごとに勤しんでいるものだから もういい加減お家に帰りなさいと パシャリ頭から水をかけて消火に努める じゅうじゅう何やら文句を言いながら暑さは右往左往小さく縮んでいく また明日ね別れを言うと…

季語 仲夏 五月晴れ

五月晴れ 暑さの次に五月雨が休みを取ったらしく久しぶりに洗濯物が気持ちよく干せますそれはいいのですが 暑さの休暇中を夏らしくないと言った事に腹を立てた顔を真っ赤にした まとわりつくような暑さが訪れましてふーとため息が出てしまいます 勝手なこと…

季語 仲夏 梅雨寒

梅雨寒 パシャ パシャ雨はもう何日も降り続いておりますそれゆえお日様が恋しくなったのでしょうここのところずいぶん冷えるとおもったらどうやら暑さは休みを取ってどこかへでかけているというのです どこへ出かけたというのでしょうかねなんとも夏らしくな…

季語 仲夏 五月雨

五月雨 お日様の刻む暦も6月に入りましてしっかり 梅雨を迎えております それゆえに 雨は心地良さそうに自信たっぷりな様子で降り続けており あちらからも こちらからもぽちゃ ぱちゃ ちゃぷんなどと楽しそうなおしゃべりが聞こえてきます そんなおしゃべり…

季語 初夏 筍流し

筍流し 茶色の衣にくるまれて幼い竹の子は土の上に 腰をおろしただただ おとなしく聞いている いいですか この時期の このような風は 大体 雨を連れてきます 気をつけましょうね よく覚えておくように と 青々とした背の高い大人の竹はさわさわ 葉をふれ合わ…

季語 初夏 薄暑

薄暑 確実に 夏へと一歩踏み出して今暖かさは 着実に 暑さへと姿をかえつつあるのだなぁ と 袖をまくる

季語 初夏 余花

余花 寝坊した遅刻した出遅れた 舞台に上がれば場面はもうすっかり移り変わり 真っ白に降り注ぐ陽光に若葉がキラキラ輝く季節 場違いもいいところだ居心地のわるさを感じつつ 葉陰にちらちら控えめに花はそれでも立派に咲いている

季語 仲春 雪の果

雪の果 夏ではないけれど僕らには辛い 折り返した太陽はもうずいぶん高くまで 寒さは 締りをなくしすっかりゆるんでいる 降りてゆく途中で耐えられず涙を流してとけてゆく子も これではもうなかなか届かない 残念だけれど引き際ってのも大事 帰る仕度を整え…

季語 仲春 初雷

初雷 起こしてくれるなとは 言わないよ春だもの起こしてくれるのは ありがたい事だよ だけれどねもっとほかに起し方はあるでしょう 巣穴を出て ねぼけまなこをこすりながらピカピカ ゴロゴロ騒がしい空を見上げている

季語 晩秋 行く秋

行く秋 コトリ音を ひとつたてて 行ってしまう これですべて 届けおえましたそれではまた会いましょう と 秋の背中は夕焼けの中に静かに溶けていきます

季語 晩秋 秋惜しむ

秋惜しむ 行かないでほしいんだ まだいてほしいんだ かきくりかぼちゃ なしいもぶどう おいしい おもいで

季語 仲秋 無月

無月 もういいかいまぁだだよ もういいかいまだ だよ もういいかいもういいよ どこかな?どこかな? あっ !見いつけた 指さす空には 雲の後ろに隠れていたお月様が今 少し雲の隙間に姿をのぞかせて・・・・・・ くれるだけでもいいのにな

季語 初秋 赤のまんま

赤のまんま おもちゃのお椀によそわれた赤いめでたいごはんはね どろんと 化けた私らと仲良く遊ぶ 一緒に 化けたたでの花 さぁ 召し上がれ

季語 初秋 荻の声

荻の声 よーく耳を澄ませてごらん 風はさらさら荻をならしてゆく 聞こえるだろう 巡ることをうつろうことを届ける 声が 荻がさらさら秋を知らせている

季語 初秋 残暑

残暑 居残りじゃないからな置いてけぼりにされてなんかないからな迷子じゃないぞ勘違いするな 余韻ってあるだろう知ってるか これだけ騒がしくやっている最中だぞあっさり 過ぎ去られてみろよぽっかり穴が空くぞ心に淋しくなるぞ そうならないようになこうし…

季語 仲春 雪しろ

雪しろ 春の陽にぬるんでゆるんで雪たちは とかれてとけだし走りだし 野原に川にと駆け下る

季語 晩冬 風花

風花 すーっと澄み渡る空の青さに負けじと 真っ白に咲く花は風に乗って遠くから訪れる旅人 あっという間に散ってゆく 山の向こうから届くちらちらと舞うはかなき 雪の花

季語 晩冬 氷橋

氷橋 すぐそこにあるようで隔てるものははるかに深い 届きそうで届かない所 求めるものを叶えてくれるそんな季節は今ここに訪れてようやく会える 音をなにひとつ立てることなく 寒さの育む水面の橋は向こう側とこちら側を近くに結ぶ

季語 初冬 凩(こがらし)

凩 ぎゅっと握っていた手をはなす時それは さよならということ だからその時については慎重にならなくては そんなおもいは知らないのだろう 吹きすさぶ寒さをいっぱい連れた冬を知らせる風は 次から次へ梢と木の葉を引き離してゆく

季語 晩夏 秋を待つ

秋を待つ ひゅーぅと涼しい風がうしろから ほほをなでてゆくハッとする こころをなでてゆくヒヤッとする そろりと振り返る と そこには・・・・・・ 夢はここで終わる目覚めた 暑さ は似合わない冷汗をかいている 夢であったことにほっとする 同時に 誰かの想いの…

季語 晩夏 空蝉

空蝉 静かに見送ったよ そりゃ 悲しかったさ あれだけ永く一緒に過ごしたんだから悲しくないはずは ないだろう さんざん泣いてもうすっかり涙は涸れた乾ききって カラカラになってしまったよ 今でも淋しくて仕方ないんだぽっかり穴があいてすっかりからっぽ…

季語 仲夏 梅雨の月

梅雨の月 あまりにも明るく照らすものだからこれはひらかずには いられなかったんだ まぁいいだろうあれだけ降らせたのだから 今晩くらいは ほら カエルが早苗の間 写る姿にうたをやすんで見惚れているよ こういうのって粋な計らいなんて言ったりするのかな …