ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

七十二候 綿柎開 処暑初候

綿柎開 わたのはなしべひらく 天を開いた うてな走りはじめる 僕ら ふわふわ 白い雲からでて どこまでもひたすらに翔けてゆく ねじねじ 螺旋を描いてくるくる 円を描いて どこまでも長くいつまでも永く 花の上を舞い葉の上を滑り土の上に遊ぶ 疲れなんて知ら…

七十二候 蒙霧升降 立秋末候

蒙霧升降 ふかききりまとう ゆらゆら 白い幕が立ちはだかる “お忘れ物はございませんか?” 目の前に 突如現れ 問いかける “こちらはあなたのものでは?” 差し出されたものに覚えはなく 「いいえ 違います」 “それではこちらは?” 「それも違います」 “お忘れ…

七十二候 寒蝉鳴 立秋次候

寒蝉鳴 ひぐらしなく 夕空へぱっと 手を振って また明日 はじまった季節の夕暮れ ぽつんとたたずむ姿をうつして なきつづける声が家路にこだまする →蒙霧升降39 pippinouta.hatenablog.com ←涼風至37 pippinouta.hatenablog.com

七十二候 涼風至 立秋初候

涼風至 すずかぜいたる それは 空の高くから降りてくる うん それで? いまだ残る夏の余韻を納めるために走り回るんだよ もう夏はいってしまったと静かに知らせて回るんだよ ふーん なんだか 淋しいな 仕方ないよ順番だからね 火照った大地を冷まして秋の居…

七十二候 大雨時行 大暑末候

大雨時行 たいうときどきにふる 「今です届けに 行ってきなさい 翔け上がって 空へ」 皆の体がふわり うきあがり軽々 大地を離れ 吸い上げられるように大空へ 高く高くへと昇っていく 草も木も 今まであれだけ大きく見えていたものがぐんぐん小さく 豆粒へと…

七十二候 土潤溽暑 大暑次候

土潤溽暑 つちうるおうてむしあつし 日の出時より湧き上がり 静かに積み上がりつつある緑の積層 ふわふわと漂いぴとぴとまとわりつく 「大地からの手紙なのです 今すぐに空へ届けねばなりません どうか どうか僕たちを青い あの大空へ 今すぐに連れて行って…

七十二候 桐始結花 大暑初候

桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ ほら 届かない高くに結び目 くるり ひと結び ほら仲良く並んでる結び目 くるり ひと結び ほら花の締めくくり結び目 くるり ひと結び ほら幼い眠る花調え結び目 くるり ひと結び ほら 桐は愛おしげに結び目 くるり ひと結…

七十二候 鷹乃学習 小暑末候

鷹乃学習 たかすなわちわざをならう さぁ いいですか 私たちはこの森の頂点に立つものです ですが決して私たちが偉いものとそういうわけではないのです 私たちは私たちだけで生きていけているわけではありません たくさんの命に支えられて今の私達がいるので…

七十二候 蓮始開 小暑次候

蓮始開 はすはじめてひらく そこにはありとあらゆる色が取り揃えられている 空の色も 雲の色も雨の色も 風の色も太陽や月や星の色も どれでも好きに選んでいい その中にあったのがこの色なんだお気に入りの色だよ 1度全ての色に浸かってから時間をかけて選び…

七十二候 温風至 小暑初候

温風至 あつかぜいたる のしのし昇るその歩み よいしょよいしょ 一緒に登るぞ ほら行けそら行け 頑張れ 応援するぞ後押しするぞ ぐんぐん背中を押して 今年も暑さよ 頑張れ 目指す頂上空が明けて 眩しく明るい ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ 二十四節気の小…

七十二候 半夏生 夏至末候

半夏生 はんげしょうず 夏も半分 折り返し じゃば じゃば 雨も 降る にょき にょき 何やら 伸びて こりゃ なんだ ??? !!! 蛇が 鎌首 もたげて 構えとる さぁどうする はよ逃げよう 怖がるな 恐れるな 何のことはない 心を落ち着けて よーーく 見てみな…

七十二候 菖蒲華 夏至次候

菖蒲華 あやめはなさく 滴るほどの濃密な きっとあれはこの降り続く雨を集めて作られている いったいどれくらいの雨を集めればあんな底知れぬ深い色彩を作れるのだろう あまりの深さゆえひとたびその色にふれれば ずぶずぶと泥沼にはまるように奥深くへと飲…

七十二候 乃東枯 夏至初候

乃東枯 なつかれくさかるる 登り詰めたことを知らせているかのように 緑溢れるその中 季節を先取りするかのように 誰とも異なる色彩 これからの行き先を示しているかのように 静かに眠る姿 始まる衰えを表しているかのように 立ち尽くす ー・ー・ー・ー・ー…

七十二候 梅子黄 芒種末候

梅子黄 うめのみきばむ 早いものですねもうこんな時期を迎えるとは 嬉しいような淋しいような あの寒かった頃やまだ青く幼かった頃が懐かしい 立派になったものです ここからはお別れのときです でも 決しておしまいのときなどではないのですよ かなしむこと…

七十二候 腐草為螢 芒種次候

腐草為螢 くされたるくさほたるとなる 身を横たえる朽ちる草葉を輝かせ 滴る雫を糧に 星の欠片飛び立つ 夜空地上にうつし 暗闇を煌めかせ 静かに懸命に 燃える →梅子黄27 pippinouta.hatenablog.com ←蟷螂生25 pippinouta.hatenablog.com

七十二候 蟷螂生 芒種初候

蟷螂生 かまきりしょうず 生きてゆくために必要な分だけ 命を頂くことをお許しください この命尽きるときまで日々精進してまいります 真摯に生きる事を誓います 今から 目の前に現れるだろう 我と同じ尊い命を頂くことを どうかお許しください ー・ー・ー・…

七十二候 麦秋至 小満末候

麦秋至 むぎのときいたる 満ち足りたよき笑顔が溢れてゆく 黄金色を波打たせ 風に乗り歓喜が 煌めきながら伝播してゆく さわさわと称賛の声を受けながら ひとつ麦の幕が下りる時をここに迎える →蟷螂生25 pippinouta.hatenablog.com ←紅花栄23 pippinout…

七十二候 紅花栄 小満次候

紅花栄 べにばなさかう 近づかないでください あなたを傷つけようというのではないのです 誰かの手をあかく染めるなんてしたくはないのです ただ子孫を守りたいそれだけなのです 分かっていただけたらとおもいます 今はまだ あの空へぐんぐん 精一杯に伸び上…

七十二候 蚕起食桑 小満初候

蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ 殻を破り 与えられた食事を朝昼夕夜を問わずただ ひたすらに休みなく 食べ食べ食べ食べ食べ食べ続け お腹いっぱいになったらしばし休憩目覚めれば1段 成長を果たせる そして また 与えられた食事をひたすらに食べ食べ食べ…

七十二候 竹笋生 立夏末候

竹笋生 たけのこしょうず むぐむぐむぐ ぐぐっぐぐぐぐぐっ そりゃいけやれいけもっといけ 高い高いあの空目指して どんどん行くぞまっすぐ行くぞ負けないぞ 誰よりも早く誰よりも高く →蚕起食桑22 pippinouta.hatenablog.com ←蚯蚓出20 pippinouta.hate…

七十二候 蚯蚓出 立夏次候

蚯蚓出 みみずいづる ただ ひたむきに 来る日も 来る日も 真面目に一心に 誰に知られることもなく誰に顧みられることもなく 太古より鍬をふるいただただ一生懸命に 生きる そのことがたくさんの命を下支えしているのだという これから この足元で →竹笋生2…

七十二候 蛙始鳴 立夏初候

蛙始鳴 かわずはじめてなく さぁ舞台は整った 長かったこれまでの道のり 卵から孵り 先祖返りかという姿で幼少時代を過ごし 足が生え 手が生え姿を変え 色まで変え 寒さをやり過ごすために一時的に暮らす場所を替えぐっすり眠り 暦に叩き起こされ地上に帰り …

七十二候 牡丹華 穀雨末侯

牡丹華 ぼたんはなさく 春の門出豪華絢爛 遠ざかる後ろ姿 静かに座り崩れることなく見送る牡丹 ・ー・ー・ー・ー・ー・ 穀雨末侯牡丹華。 春はここまでです。 5月6日には二十四節気、立夏を迎えます。 →蛙始鳴19 pippinouta.hatenablog.com ←霜止出苗17 …

七十二候 霜止出苗 穀雨次侯

霜止出苗 しもやんでなえいづる ばいばい それじゃまたね 別れとはなんと淋しいことだろう けれど こうして別れがあるから次が始まるのだよね ぐっと背を伸ばして成長を始められるのは この別れがあってこそ これからは君たちの出番なんだ 自信を持って 歩ん…

七十二候 葭始生 穀雨初侯

葭始生 あしはじめてしょうず つん つん つんこれが始まり ほらここにも そこにも まるで牙のようだとも角のようだとも こわいことなんてなんにもないよ これから ぐっと大きくなって 下には君たちの上には僕たちの 大事な休憩場所 避難場所家にもなるんだよ…

七十二候 虹始見 清明末侯

虹始見 にじはじめてあらわる 隠れているつもりはない どこにでもいて実は溢れかえっている それなのに 誰も気づいていない でもこの時が来たんだずっと待っていたんだ やっと自己表現ができる 嬉しい ほら これがそうここに映るのが世界に溢れる彩りの基本 …

七十二候 鴻雁北 清明次侯

鴻雁北 こうがんかえる 雲よ 今だけは隠さないでおくれ しっかり目に焼きつけて行ってほしいんだ そこからならよく見えるだろう 咲き誇るこの地の姿が 鮮やかに彩られる季節に帰って行く鳥たちへ 贈るよ 旅の無事を祈って →虹始見15 pippinouta.hatenablog…

七十二候 玄鳥至 清明初侯

玄鳥至 つばめきたる 風が吹き雨が降り草木が芽吹き花が咲き いつもとかわらず巡り訪れるこの季節に 馴染み深く懐かしい景色あの山この川 いつもとかわらず迎えてくれるこの故郷に 今年もこうしてまた巡り会えるよろこび ただいま →鴻雁北14 pippinouta.ha…

七十二候 雷乃発声 春分末侯

雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす ぽーっとしたまま まだ覚めきらない もうひと眠り うとうとと 夢の中に ゆったり舟を漕ぐ ぷっかり ぽっかり たゆたう そのさなかに出逢う 飛び起きるに十分な 目覚めの 一喝!! →玄鳥至13 pippinouta.hatenablog.…

七十二候 桜始開 春分次侯

桜始開 さくらはじめてひらく さっ始めましょう その一声にめを覚ます 降り注ぐまぶしい陽光にきたいが膨らむ 今年1番の大舞台 見事に演じきってみせましょう 1輪2輪 待ちに待った この時 幕が開く →雷乃発声12 pippinouta.hatenablog.com ←雀始巣10 …