ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

七十二候 蒙霧升降 立秋末候

蒙霧升降 ふかききりまとう

 

ゆらゆら

 

白い幕が立ちはだかる

 

“お忘れ物はございませんか?”

 

目の前に 突如現れ 問いかける

 

“こちらはあなたのものでは?”

 

差し出されたものに覚えはなく

 

「いいえ 違います」

 

“それではこちらは?”

 

「それも違います」

 

“お忘れなのでは?”

 

「あの 通してもらえないでしょうか
この道を行きたいのです」

 

“じゃまだてをするつもりはないのですよ”

 

“ただ
ここいらに置いてけぼりにされているものですからね
たくさんの想い出が”

 

“もしや あなたのものではと 気になりまして”

 

見渡すと確かにいろいろなものが
あちらにも こちらにも
さっきまではなかったものたちが・・・

 

これらは 想い出 なのか?

 

“せっかくの命眩しい季節の品々
忘れて行ってはもったいない
きちんと持って いきなさい”

 

“それでは” と

 

ゆらゆら
白い幕が晴れ

 

見えてきたのは
この先への

 

道標

 

 

 

 

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