ポケットの中庭

ゆっくり ゆっくりと 綴っています

2022-01-01から1年間の記事一覧

秋分 9月23日頃のこと

秋分 よいしょと腰をおろし 来た道仰ぎ見れば白く気が抜けて座込んでいる夏はいる 秋の真ん中で粧いを新たに咲く花を愛で眠りにつく前の命と春からの話に花を咲かせる一時を過ごし 行く道見下ろせば首を長くし待つ頬を緩ませる冬はいる 麓までにはまだ道半ば…

白露 9月8日頃のこと

白露 そっと葉の縁に結んでゆく ひとつ ひとつ慎重に 丁寧に ふーっと息をつくような些細なことでも 涙をながすようぽしゃりとおちてしまう そんな 繊細な いとなみ 寝静まる間に涼しさが生み出す 朝陽にキラキラ白く光る はかない 宝石 →秋分 pippinouta.ha…

処暑 8月23日頃のこと

処暑 あれだけ 騒がしく降りしきっていた声はすっかり 遠のいて 暑さはどこか淋しそう ぼんやり仰いだ空はすーっと高くあの頃の色はもういない 草の間から一心に誰かを呼んでいる鈴の声が聞こえてくる ほぅと ひとつ息を 吐いた暑さは うつむいてしまう この…

季語 初秋 残暑

残暑 居残りじゃないからな置いてけぼりにされてなんかないからな迷子じゃないぞ勘違いするな 余韻ってあるだろう知ってるか これだけ騒がしくやっている最中だぞあっさり 過ぎ去られてみろよぽっかり穴が空くぞ心に淋しくなるぞ そうならないようになこうし…

夏至 6月21日頃のこと

夏至 ようやくたどり着く きらきらと輝き滴るほどに色濃く命満ち溢れる頂きで躍動する生命達と一時を共にして また麓へと歩みゆく →小暑 pippinouta.hatenablog.com 芒種← pippinouta.hatenablog.com

穀雨 4月20日頃のこと

穀雨 希望を胸に今ようやく目覚めようとするこの小さな命をしっかりと抱きしめて あなたが贈るこの暖かな想いを受け止め これから共にこの小さな命を守り育んでゆけることを嬉しくおもう 春の暖かな雨が母なる大地を潤して静かに降っている →立夏 pippinouta…

祈り

祈り ぴゅーと水を掛け合って遊ぶ子供 青い空には白い雲がながれ木々では小鳥が歌う 道を人がゆき木陰にくつろぐ人がいる 噴水は水を噴き上げ自転車がかけてゆく 猫が道を横切りトマトを売る人がいる 地面に木漏れ日がゆれ笑い声が通ってゆく 美味しそうな香…

季語 仲春 雪しろ

雪しろ 春の陽にぬるんでゆるんで雪たちは とかれてとけだし走りだし 野原に川にと駆け下る

おはよう ○○○

おはよう ふんわり 大地と別れを告げるみたいに空が生まれる 遠くの空がほんのり白く色をかえている 夜の色を西の空にまわして白く光る青がだんだんに色をかえながら空全体を覆っていく 東で朝の始まりがオレンジ色に光り出す お日様がすぐそこまで来ている …

おはよう ○○●

おはよう 真っ暗闇の中で 何も見えなくても花の咲くのを知ることはある さっきからとてもいい香りがしている 吹いてくる風を感じる さらりとほほをなでていく手をなでていく木の葉をざわざわならしていく ほーほーほーがさごそ がさごそ みんな眠っていると…

おはよう ○●●

おはよう 真っ暗な夜の森をふたりは小さなランプの明かりを頼りに歩いていく 夜はみんな同じ色空も大地も草も木も鳥も虫も僕たちも 誰もかれもみんな同じで違うことが分からない夜の色の中にみんな溶け込んでいる こんな真っ暗闇な夜の時間ではまえには何も…

七十二侯 東風解凍 立春初侯

東風解凍 はるかぜこおりをとく 固く結わえつけられた 結び目を ゆっくりゆっくり やわらかくときほぐして ひとつひとつを 丁寧に 春風は解き放ってゆく →黄鶯睍睆2 pippinouta.hatenablog.com ←鷄始乳 pippinouta.hatenablog.com

季語 晩冬 風花

風花 すーっと澄み渡る空の青さに負けじと 真っ白に咲く花は風に乗って遠くから訪れる旅人 あっという間に散ってゆく 山の向こうから届くちらちらと舞うはかなき 雪の花

季語 晩冬 氷橋

氷橋 すぐそこにあるようで隔てるものははるかに深い 届きそうで届かない所 求めるものを叶えてくれるそんな季節は今ここに訪れてようやく会える 音をなにひとつ立てることなく 寒さの育む水面の橋は向こう側とこちら側を近くに結ぶ